daybreak
Presenter:作者の回答を見る!(7/28 15時~)
Summary:エメアゼ♀成立前+ヒュ
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Summary:エメアゼ♀成立前+ヒュ
遠くで、夜明けを謳うとりたちの唄が聞こえる。
私を挟み左右に陣取る悪友2人は、私よりも大きなからだを小さく丸めながら未だ夢の中。そうそう、昨夜はこの街に戻った私を2人して出迎えてくれて、お土産をひとつひとつ披露しながらグラスを傾け、話に花を咲かせるまま雑魚寝をしたんだった。
いつの間にかきっちりと肩まで上掛けがかかっている。きっとこれは彼の仕業だろう。
ヒヤリとした空気が頬に触れて、私はふるりと身震いをした。2人に倣って体を小さくして、左に向かって体を向ける。目の前には、細く差し込む光を受け淡く光る白。彼が身じろぎをして深く息を吸ったのに合わせて、その一房が流れ落ちた。閉じられた瞼の下にある煌めく蜜色から見つめられることを想像して、きゅっと胸が締め付けられる。きれいだなあ、なんてまだはっきりしない意識の中思った。
昨夜みたいに3人で過ごす時間に、不満はない。だけど、時々つまらない独占欲が首をもたげる。
――君を、ひとりじめしたい。その瞳に、私だけを映してほしい。
ああ。君のてのひらを、視線を、唇を、声を、熱を、君のすべてを。
そんなことを言うと君は、善き人として在るべき姿に相応しくない、なんて言うんだろう。きっと、まだ。
彼の頬に手を伸ばす。指の背で流れ落ちた髪を掬い耳にかけると、くすぐったいのだろうか。ほんのり眉間にしわが寄った。そのしわすら愛おしくて、こっそりと唇で触れる。
もう少しの間だけ、この3人で時を紡いでいよう。私たちの時は永いのだ。君の気持ちが、想いが、私に追いつくまで。今はただ、ここで、この距離で、君の香りを胸いっぱいに吸い込んで溺れていたい。
優しく光が降り注ぐこの街で。永く、永く。